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雪の降る処

ブログ名・雪の降る処 ・此処は「シルバーレイン」に参加している、 雪乃城あやめの何気ない日々を書いてくブログです。 此方のブログに上げられているイラストは『シルバーレイン』の作品として、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。イラストの使用権は作品を発注した雪乃城あやめに、著作権は作品を制作したイラストレーター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。 無許可での掲載・転載はどうか御遠慮下さい。

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白き山脈に結ばれる絆~過去2

倒れるように入ってきた一人の村人
 
「え・・・嘘でしょ?」
 
傷だらけで帰ってきた村人が告げた言葉
 
あまりにも残酷な状況をもたらした



ちょうど昼になった時だった急に家が慌しくなった。
 
「あら?あやめなんだか騒がしいわね、お兄様が帰ってきたのかしら?」
「分からないけど、ちょっと見てきますね。」
「私も行くわ、お兄様から今回のお話聞きたいわ」
 
二人は手をつなぎ玄関へと向うと、そこに居たのは怪我の治療をしている1人の村人とそれを囲むように集った者たちだった
 その傷は遠目で見ても酷い状態だと分かる。
「いっ・・・俺はもういい、水元さんに伝えなきゃならん事がある、御子息が・・・」
「皆どうしたの!何があった、お兄様はどうしたの!」
 勇姫とあやめが状況が分からず近づいていた時だった
 
『・・・御子息が、悪霊に連れてかれちまった事を!』
 
あやめは隣りの勇姫を見た、その表情には感情がない様にも見えるが放たれた言葉にはいい表せられないほど感情が入り混じっていた
「その話は本当・・・なの・・・」
その言葉を聞いた時、隣に居たあやめは心のそこで逃げ出したくなるほど恐怖を感じた、それを押さえ込むように言葉と紡ぎだす
「勇姫お姉ちゃん、駄目だよ・・・お父様達に任せてっ」
「・・・離しなさい、あなた達もそこをどきなさい!」
 振り払われる手、勇姫は傍に立てかけてあった燕刃刀を掴むと止める村人を押しのけ外へ出て行った
 「まって!お姉ちゃん!?」
 
それを追う様にあやめは駆け出した。
やっとの事で追いついたあやめだったが、勇姫が放った言葉は拒否だけだった。
「まってお姉ちゃん、皆をまってからでも・・・」
「お願い・・・止めないで、これ以上ついて来るならあやめでも容赦しないわ。お兄様を助けに行かなきゃ行けないの。」
「なら・・・私も行く!お姉ちゃんは私が守るの。」
 吹雪の中で睨みあう様に対自していると、近くから悲鳴が響いた。
 二人は頷き合うと悲鳴がした方へ駆け出した。
 
二人が駆けつけた時には鮮血のつぼみが開き雪に咲き始めていた、その傍には二つの影がその華を眺めていた。
 それを見つけた勇姫は間髪いれずに刃を振い、あやめは結晶輪を飛ばした。
「貴様がぁー!」
「当って!」
「あら~?可愛い子達ね、わざわざ来てくれるなんて私嬉しいわよ♪でも、私ってそんな野蛮な戦い方好きじゃないの、だから・・・お願いね♪」
 リリスへ跳んでいた燕刃刀に鎖鎌の刃が、結晶輪にはナイフが割って入り攻撃を遮った
「「え!」」
 二人は驚いた。そこには勇姫の兄が立ちふさがっていたのだから。
 今にも飛び出しそうな勇姫をあやめが止めに入る
「お兄様!どうして!!」
「そう、貴女この子の妹さんなの?それは残念だったわね・・・もうコレは私のモノなんだから」
「嘘!そんなこと!」
 三日月のように引きつった笑みを浮かべるリリスはあざ笑うかの様に勇姫を見る。
今にも走って行きそうな勇姫をあやめが止めていた時だった・・・見てしまった虚ろな目にはもう勇姫達は映ってはいない事を。
それは、もうこの世の者ではなく倒さなければならない存在になってしまったという事だった。
 「お姉ちゃん、お兄ちゃんはもう・・・」
 「そんなはずないっ!助けれられるわ、絶対私が助けるの!放して、放せぇー!!」
 「きゃっ・・・お姉ちゃん!」
 あやめを振り払い泣きながら兄へと近づいていく。そこには何時もの勇姫はいなかった。
最愛の兄は目の前にいる、変わり果てた姿で虚ろな眼はリリスしか写していない、でもそこには大好きな兄がいるのだ、その兄の唇が不意に動いた。
「・・・ゆ・うき」
「お兄様!私は此処にいます、今助けますから待っていてください!」
「・・・死ね・・・!」
不意をついた鎖鎌の一撃が勇姫目掛けて放たれた、勇姫は動けなかった現状を把握できなかったのだ
「ふふ、一人目かしら・・・まぁ、そう甘くないでしょうけど。」
 リリスが愉快そうに見つめる先、鎖鎌は紙一重の所で結晶輪にぶつかっていた、結晶輪は音を立てて砕けたが勇姫に傷一つ着けることは無かった
「お姉ちゃんは私が守るの!貴方なんかにやらせない!」
「あら恐いわぁ~でも、武器は今壊れちゃったけど大丈夫?それに1対2じゃ勝ち目ないわよ」
「・・・」
 リリスは勇姫を無視してあやめへと目標を定めた、放心状態の勇姫は何時でも殺せると考えたのだろう
「それがどうしました!やってみないとわからないです。」
「その強気な所は好きよ、でも少し疲れたし飽きたわ・・・そろそろ死んで。」
「・・・しね」
 次の瞬間一斉に攻撃があやめを襲う、蛇の噛み付きが、鎖鎌の刃が、放たれるナイフが・・・あやめを無残に切り刻み吹き飛ばした
「かはっ?!・・・駄目・・・此処で倒れたら駄目なんです。お姉ちゃんを守らないといけないんです!!」
 魂が肉体を支える、それでも虫の息だ。次がくればもう後がない。
「まったくしつこい子は嫌われるわよ・・・行ってあげなさい。」
「し・・・ね」
 ナイフを構え突っ込んでくる兄だった者、あやめは決断した今を生きる姉と慕う者の為に、一瞬の思考は身体を動かした帯を解き、鋭く振るうそれは刃となり・・・
「ごめんなさい・・・お兄さん」
「あ・・・りがと・・・な、あやめちゃん」
兄だった者の身体を貫いた、渾身の一撃をはなったあやめは倒れるように膝を突いた
「凄いわねまるで槍みたいじゃない・・・ふふ、これで奥の手はなくなったのかしら?」
 リリスは嘲笑った、最後の最後油断している者に放てばリリスとて倒せた一撃だった、それを見越して己は高みの見物をしていたのだ
「はぁはぁ・・・あなた最低です。」
「もう褒めても何もないから今度こそ死んでよ、綺麗に咲きなさい・・・次のお人形は貴女にしてあげる♪」
「・・・っ!!」
 襲い掛かる蛇の牙に覚悟を決め目を閉じた、しかしそれはいつになっても来ない。
 あやめが目を開けるとリリスの胸元から刃が突き出し、その背後に勇姫が立っていた。
「え?・・・そんな、どうしてこんな・・・げふっ!」
 勢いよく引き抜かれる刃を放り投げ、地面へと押し倒す
「・・・許さない。お前・・・」
 地に伏せたリリスに放たれる爆水掌の連続、吹き飛ばされず大地に押し付けられていく
「ちょっと、謝るわもうしない!たす・・・ぎゃ!!」
「黙れ・・・」
 水刃手裏剣がリリスの四肢を穿つと攻撃の手がやんだ
「?!・・・た・助けてくれる・・・の?」
 勢いよくリリスの顔面を掴むと勇姫は無表情で告げた
「助けてあげますよ。その苦痛からね」
「お姉ちゃん!や・やめて、もうやめてぇー!」
立っているのがやっとの状態のあやめは、懸命に言葉を紡いだ
「ほ・ほらあの子だってああ言って・・・」
「そうね・・・それが、どうしたの?」
 無常にも放たれた言葉と爆水掌の一撃は雪上に新たな華を咲かせた
「お・お姉ちゃん・・・きゃ!」
 あやめに近づいた勇姫があやめを殴りつけ、勇樹は泣きじゃくりながら叫んだ
「お兄様を・・・お兄様をよくも!助けれたかもしれないのに!」
「・・・」
「私だったらきっと出来たわ、お兄様を・・・お兄様を!」
「・・・」
 あやめは何もいえなかった・謝れなかった、只ひたすら涙を流すことしか出来なかった
「うぅ・・・あああぁー!」
 吹雪は止んだ、しかし勇姫の悲しみは激しさを増すばかりだった
 
 
その後、異変が治まり水元家の跡継ぎが勇姫に決まった、あやめと勇姫はそれっきり会う事が無くなった。
 それでも、あやめはあの時の事を謝りたく年に何度か足を運んでいる、会えないと知りながらも会えるのではないかという淡い幻想を抱いて。
 
 「そういえば・・・今年はなんだか、いつもと違う寒さですね。」
 
世界結界が張られるまであと数ヶ月・・・
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雪乃城あやめ
性別:
女性
職業:
雪女×真ケルベロスベビー(名・ちび)
趣味:
読書(活字中心で古典的な作品を好む)

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